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「......動くなよ、リィン」
静かにリィンに囁く。
「俺の頭を踏みやがった。潰す」
「ふっ......。希少属性か」
俺に殴られた頬を腕で拭い、不敵な笑みを浮かべながらそいつは立ち上がろうとする。
女だ。真っ赤な長い髪と瞳。笑みを浮かべるその表情は妖艶な雰囲気を醸し出し、俺を突き刺したであろう右手には血が滴っている。
女は立ち上がると、右手を赤に染めている俺の血を舌で舐め取る。
すると、不敵な笑みはさらに深くなり、妖艶な雰囲気が濃くなる。
「......ふふ、かなりの魔力が含まれた血。美味だ」
「ヴァンパイアか。血に飢えた鬼がこんな餓鬼の溜まり場を襲うなんてな」
俺がそう言うと、女は少し表情を変え、
「......私がヴァンパイアだと?あんなのと一緒にするな。私は」
「ハーフヴァンパイア。人間とヴァンパイアの間に生まれ、どちらにも忌み嫌われる化物だろ。牙が無いのが証拠だ」
「化物か......。あぁ、私は化も」
「そして、お前程度の化物が俺の頭を踏みやがったんだ」
女の言葉を遮って言う。
「ぶっ潰すから、死ぬ気で抵抗しろよ?」
殺意で顔に笑みが浮かんでくる。
ーその抵抗ごと潰してやるよー
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