136人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「で、なんでお前ついて来てくるん?」
「お前やなくて、どっくんやろ?」
「俺の質問は無視か」
保健室でせっかく昼寝をしようとしていたのに、何故かこいつまでついて来て
でももう錦戸に何を言っても仕方ないから、聞こえないほどのため息をついて、保健室の白いベッドに横になる
「抱いてや、横山くん」
錦戸の存在を完全に無視しようと、瞳を閉じて眠りに入ろうとすれば聞こえた、掠れた声
その言葉にびっくりして、起き上がれば、すぐ近くに錦戸の姿があって
「お前、本間に頭、狂ってんちゃう?」
「狂ってるよ」
「…っ…」
「横山くん見てると、本間に狂ってまうねん」
ギシッと低い音を経てて、錦戸がベッドに腰掛けて、更に近付いた距離
いつもとは違う錦戸の雰囲気
ヘラヘラなんてしてない、真っすぐ真剣な瞳を向けられて、固まった俺の身体
ゆっくり、ゆっくり、錦戸の指が俺の顎をなぞって
ゆっくり、ゆっくり、近付いてくる錦戸の、整った顔
睫毛が長い、そう思ったのと同時に俺の唇に触れた、柔らかい感触
「好き、横山くん。…俺は本気やで?」
離れた唇に、離れた顔
目の前には今までに見たこともないくらい、真剣な表情をした錦戸の顔があって、
(あぁ、やばい、惚れたわ)
end
.
最初のコメントを投稿しよう!