所詮イケメンってね

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「なに固まっとんねん、マル」 お昼を知らせるチャイムがなって、いつも通りに急ぎ足で向かった屋上 オカンに作って貰った手作りのお弁当に、ちょっと渋めのお茶が入った水筒持って、いつも通りに屋上の扉を開ければ、視線の先にいた黒髪の少年 背は横山くんと同じくらいで、肌も横山くんと同じくらい白くて、顔も横山くんと同じで、切れ長な目に桃色の分厚い唇が際立っていて、喋り方も僕の名前を呼ぶ声のトーンも全部、横山くんそっくりで… 「もしかして、横山くん?」 「他に誰が居んねん。てかお前、いつまで固まってるん?」 「だ、だって髪の色…!」 「就活で黒に戻したんじゃ、あほ」 「えぇ!」 固まってる僕の前には、さらさらした英国の少年を思わせる金髪から、漆黒の深い黒髪にした横山くんが、少し恥ずかしそうに立っていて 「な、なんやねん。変なのは自分でも理解しとるわ!」 くちびる尖らせて、大きな手で顔を隠そうとする彼はすごく綺麗で 金髪も似合っていたけれど、黒髪もまた同じように似合っていて。(いや、むしろこっちの方が好きだったり) 風によって、揺れる柔らかい黒髪に引き寄せられるように近づいた、僕 俯いて、顔を隠す彼のその綺麗な黒髪に触れれば、高鳴る胸の鼓動 「黒髪も素敵です、横山くん」 顔を上げた彼に優しく微笑んであげれば、顔をみるみる真っ赤にさせて あぁ、横山くんはやっぱりかっこいい。改めて、すごく好きだと実感した ゆらゆら揺れる、その黒髪も。桃色に色付く、その唇も。白から赤に変わる、その頬も。 (全部。この僕のモノになって下さい) end .
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