136人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
「なに固まっとんねん、マル」
お昼を知らせるチャイムがなって、いつも通りに急ぎ足で向かった屋上
オカンに作って貰った手作りのお弁当に、ちょっと渋めのお茶が入った水筒持って、いつも通りに屋上の扉を開ければ、視線の先にいた黒髪の少年
背は横山くんと同じくらいで、肌も横山くんと同じくらい白くて、顔も横山くんと同じで、切れ長な目に桃色の分厚い唇が際立っていて、喋り方も僕の名前を呼ぶ声のトーンも全部、横山くんそっくりで…
「もしかして、横山くん?」
「他に誰が居んねん。てかお前、いつまで固まってるん?」
「だ、だって髪の色…!」
「就活で黒に戻したんじゃ、あほ」
「えぇ!」
固まってる僕の前には、さらさらした英国の少年を思わせる金髪から、漆黒の深い黒髪にした横山くんが、少し恥ずかしそうに立っていて
「な、なんやねん。変なのは自分でも理解しとるわ!」
くちびる尖らせて、大きな手で顔を隠そうとする彼はすごく綺麗で
金髪も似合っていたけれど、黒髪もまた同じように似合っていて。(いや、むしろこっちの方が好きだったり)
風によって、揺れる柔らかい黒髪に引き寄せられるように近づいた、僕
俯いて、顔を隠す彼のその綺麗な黒髪に触れれば、高鳴る胸の鼓動
「黒髪も素敵です、横山くん」
顔を上げた彼に優しく微笑んであげれば、顔をみるみる真っ赤にさせて
あぁ、横山くんはやっぱりかっこいい。改めて、すごく好きだと実感した
ゆらゆら揺れる、その黒髪も。桃色に色付く、その唇も。白から赤に変わる、その頬も。
(全部。この僕のモノになって下さい)
end
.
最初のコメントを投稿しよう!