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ふたりに向け、マスターは
バニラアイスを手のひらで差し
促すとカウンターへ入っていく
先ほどとは打って変わって
沈黙がながれ、ガラス容器と
スプーンの触れる音が、リズミ
カルに店内を奏でていた・・・
「……んッ!!御馳走さまでした!
アキトぉ♪なぁ、お代わりとか
……2杯目は支払いだよな!?」
「美味かったぁ!当たり前に決
まってんだろうが!ったく…」
聞こえよがしのヒソヒソ話に
マスターはカップを拭きながら
フッと笑いながら背を向ける
「御馳走さまでした!!」
ふたり同時に声をあわせる
顔を少し向ける形で会釈をし
保温スペースにカップを片す
「そろそろ行くか♪」
「アキト、ごちそうさん♪」
テーブル横の伝票をゆっくりと
前へつきだす裕次郎だった
「はぁぁ?」
「現在のサイフ事情的にな、
オマエに華をもたすみたいな?
宜しくお願いしまぁす♪♪」
首を傾げつつ、妙に納得し
仕方なくアキトがサイフを出す
「有り難うございます……
ぜひ御家族でいらして下さい」
釣りを渡すマスターは、深く
頭をさげ穏やかに見送った
・・・・・
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