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仏壇に手をあわせる時間も
なく、慌ただしく玄関ドアへ
コウネは走っていく・・・
「光音っ!大パパに挨拶は!?」
聞く耳をもたない反抗期の娘は
パパの悲しいココロなど悟るコト
なく、革靴を履き、全身が写る
大きな鏡で制服の乱れを直した
「コウネ!!大パパが泣くわよ!」
舌打ちをしたものの、靴を脱ぎ
母親の言いつけには逆らえず、
しぶしぶと白髪まじりの写真に
手を合わせ線香をあげた
「やればデキるんだよな♪」
リビングを通りすぎる姿に
アキトは優しい瞳で応える
・・・当たり前のように
シカト状態でガラス戸を閉め
両親の母校、城堀高の制服に
身を包んだコウネは出ていく
「アッキー、心で泣いても
イイから舞台の顔合わせに行く
んだから目腫らさないでね!!」
食事後のコーヒーを出しながら
アカネは、少し傷ついた親バカ
アキトの背中へ触れ擦りだす
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