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「判ってるさ!!そんなの!
頭じゃあ……今のオレに
それは言わないでくれ…」
3ヶ月後の7月に控えた、舞台
初顔合わせに必要な台本で、
顔を見られないように隠して
いたが、目が赤くみえ、しかも
台本が逆さまで構えている――
「アナタ・・・逆さまです!
もぅ、それこそ大パパと同じで
キモチが揺れすぎなのよぉ」
生前、ムスメと初めて逢った時の
父親と重なって見えたアカネは
つい吹き出しそうになったが
堪えつつ、リビングのソファへ
一緒に座り元気づけていた
「なぁ、アカネにお願いがある
んだけど・・・もうひとり作る
気はないかな……ムリならイイ
けどさ、経済的にも余裕だし」
持とうとしたカップを落とし
そうになりながら、一瞬止まり
アカネはマジな視線と出会う
「えっ!?ホンキなの?
私、もう38よ!?それに、もし
デキたら光音に言うのが……」
すると急にアカネを抱きしめた
淋しさも手伝ってのコト・・・
そう感じたが、ふたりの心は
通っていたようであった
甘い口づけは意識が
無くなるほどカンジていく――
朝日に照らされたこの場所で
いつしか、肌を見せつけあい、
身体を重ね合わせたのだった
・・・・・
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