君と。

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「どこの問題?」 「えっとね… この問題かな?」 一年の問題じゃん。 大丈夫かコイツ。 「これは公式に代入して求めんの」 俺がそう言うと、 雅のペンが動き出す。 …が。 5分もたたないうちに ペンの動きが止まった。 解らないのか? 「ね、俊」 「何?」 「この問題解けたら 何かいいことある?」 は?いいこと? 「んなのある訳ねえじゃん。あ、あるか?そういう問題が解けるようになる」 「そうじゃなくて!」 他に何かあるのか。 「俊が何かしてくれるとか」 何だコイツ。 勉強を何だと思ってるんだ。 「んなのねぇよ。つか、早く解けよ」 「解けたよ?」 解けた? 解けたようには見えなかったけど。 「見せて」 はい、と雅から受け取ったノートには解答と同じ答えが書かれてあった。 コイツ解けてるじゃん。 「正解なんだけど」 「あっ、何その言い方!まるで俺が何時も間違えてるみたいな」 事実だし。 「だってそうじゃん」 痛い所をつかれた雅は少しうなだれていた。
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