36人が本棚に入れています
本棚に追加
店員に案内されて個室に入ると、そこは思ったより広く、6人掛けのテーブルが据えられていた。部屋の隅にはガラス製の花瓶にピンクのカーネーションが数輪、生けてある。
店員が真ん中の椅子を引き、私達は対面して座った。
「いらっしゃいませ。いつも、ごひいきを頂いてありがとうございます」
その声に振り向くとマスターらしい人物が白い調理服でニコニコしながら揉み手をしている。
葉月は、きっと上得意の客なのだ。
「あたしのお友達なの。今日は二人きりで大事な話だから料理は一度に揃えて出して頂いて結構よ。食前酒は無しで」
「かしこまりました。お肉とお魚のどちらをメインに致しましょうか?」
「ええ。それもマスターに、お任せします」
葉月が歯切れよく告げた。
最初のコメントを投稿しよう!