水平線

揺れる

彼女は高校在学中に母親をガンで失い、暫くは父と仲良く暮らしたが、大学時代に後妻の候補が現れて以来、しっくり行かなくなったと語った。

財産目当てに違いないのだが、父は恋愛の成り行きなどと臆面もなく女を庇うので、「元々は母の財産を運用しただけのくせに、あたかも自力で築き上げたような顔をして他所の女を招くのは母への背信ではないか」と反発したのだと言う。

そうして、なるべく他所の女にお金が行かないようにと、学習塾の給料以外に非常識とも思える額の小遣いを要求しては蓄えているのだと後に明かした。