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『かめ、クシ貸して』
『はい』
『聖、ワックス』
『いや、ムースの方がいいだろ』
『俺も一回、坊主にすっかなぁ…』
『はいはいっ!今のは暴言だと思います!』
『田口みたいにいっその事、短くするのも…』
『かぶると嫌だから止めてよ。まぁ中丸君にはこの髪型は似合わないと思うけど』
皆が見つめる中、一人髪の毛と戦い中。
周りの声は一切聞こえていない様子。
『まぁ今日、雨だしな』
『中丸には嫌な日だな』
『ってか俺、もう坊主じゃねぇし!』
『別に中丸君が気にしてるほど、皆は気にしないと思うよ?』
『…………………』
やっと手を止め、四人を見渡す。
『お前らは湿気の怖さを知らないからそんな事が言えんだよっ!』
そう言うとまた鏡に向き直る中丸。
周りは一旦静まり返ったが、溜め息が聞こえると一人、また一人と楽屋を後にしていく。
最後に残ったのは亀梨と中丸。
『まぁ湿気は気になるとは思うけど、俺は別に中丸はその髪型のままでいいと思うよ?』
それだけ言い残して楽屋を出て行く亀梨。
扉が閉まるのを確認してから頭を左右に振り、サイドの髪を確認。
『まぁ崩れた時はかめに直してもらえばいいか…』
そういい、何故か満足したように楽屋を後にする中丸。
その数時間後、ステージの上で湿気に負けた中丸であった。
『中丸、髪乱れてる』
END.
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