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私は何も守れはしなかった。
〝世界〟を、友を、愛する家族でさえも。
〝世界〟を失い、そして世界に牙を剥かれて、私はようやくこの世界というものが私を苦しめるだけの存在だと理解した。
人は醜い、人は憎い、人は虚しい。ならば、消えてしまえばいい。
だから私は力を欲した。
守るためではなく滅ぼすための力を。
しかし人を憎めど、所詮は私も同じ人間、同じ血が流れる醜い種族の一部にすぎない。
だからだろう、私は私自身でさえも嫌悪している。
そして、そんな私がかつて望んだのは
『皆が笑顔でいれる世界』
それはもう、二度と叶うことのないたった一つの儚い夢想
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