~episodeⅠ~

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夏と冬の間はアビスの動きも抑制されるらしい、どうやら動物に似た性質もあるとか何とか。 逆に言えば春と秋は奴等の動きは活発化する。 そんな訳で今日は、というよりここ一週間くらいは街中を徘徊して警備するだけで済んでいた。 他にした事といえば派手な喧嘩をしていた民間人を鎮圧したくらいだろうか。 一応アビス討伐の任務もあるのだが、数も少なく実戦経験の少ない新人に与えられるために自分たちに回ってきたとしても彼らの指導や援護に回る程度で済む。 今秋までに力をつける良い機会だし、何よりそれが彼らの今後の生存率に大きく関わってくる。 ただ、どうもここ数年は… 「アレクス?私の話をきちんと聞いてた?」 「ん?ああ、何だっけ?」 「まったく。この暑さで頭をやられたのかしら」 「こいつは酷いね」 苦笑混じりに言うと、呆れたように溜め息をつきながらルナ。 「時間よ、時間、始まる時間帯が分からなければパーティーが出来ないでしょう?六時よ、勿論午後の」 「いやいや、流石に午前はないだろう」 「頭が暑さにやられてるようだから、一応付け加えただけよ」 ルナがそう言って立ち上がり、少しばかり歩いたところでぽいっと投げた紙コップが、背後のゴミ箱に吸い込まれるようにして見事に入る。 おお、ナイスシュート。 まあ何にせよ、平和で何よりだと俺は思う。
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