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「あっはっはっは!そんなこともあったねぇー!」
小海はテーブルをバンバン叩いて爆笑した。
「今なら笑い話になるがな…当初の俺は相当傷ついたぞ」
俺はため息をついて、てりやきバーガーに齧り付いた。
うん、やっぱりマックはてりやきバーガーに限る。
「確かにあの時期から、一気に輝の人気は上昇したわよね…。主に女子に」
「輝、その年のバレンタインすごい数もらってたもんね」
和華とシズがうんうんと頷く。
とある連休。
俺たちはこの休日を利用して久しぶりに4人で会っていた。
初めは他愛もない話をしていたのだが、いつの間にか中学時代の話で盛り上がっていた。
今じゃすっかり忘れていたが、こうして話してみると俺の中学生活って結構濃かったんだな…
「結局そのあと、クリスマス前に平峰っちに告白されたんだっけー?」
小海はシェイクを口に含みながら言う。
「あー…そうだったな…」
あれが女の子第1号だったんだよな…こういう言い方するのよくないけど。
「ほーんと、谷川っちも不憫だよねー。女子に負けるなんて」
ケラケラ笑う小海の隣で、和華はニヤーッと笑った。
うわ、嫌な笑顔。
「……ま、その谷川が後々あんたのこと好きになったときは歓喜で涙が出たけどね」
「お前の場合涙よりも鼻息の荒さが出てたけどな」
「失礼ね。涙も出たわよ?」
涙”も”出たんですか……。
「え、谷川くん輝のこと好きだったの?」
「シズ気付いてなかったの?初めこそは平峰さんとられたショックで輝のことかなり敵対視してたけど…。まあ、相手は輝だからね。そんな男でも惚れさしちゃうのが輝クオリティなのよ」
輝クオリティって何ぞ……。
シズは初めて聞いたと目を丸くした。
「へえ…そうだったんだ。でも何で、輝のこと嫌ってたのに好きになっちゃったの?」
「ねえねえ、どうして?」
「どうしてー?」
純粋に不思議がるシズとは裏腹に、和華と小海は面白そうにニタニタと笑って首を傾げた。
「さあ、どうしてだろうな」
「えー、話してよぉ。ブー」
「話しなさいよ輝」
俺だって正直、当時は本当に不思議だったもんだ。
谷川は俺のどこに惚れたというのか…
「んー……。それはまたの機会に、な」
End
※昨日より、「恋愛イン腐レーション3」を公開しています!是非そちらもよろしくお願いします。
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