【リク5】中学校の同窓会

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バスを降りて、目的地であるホテルへと向かう。 バスの中では周囲からの視線が痛かった。 みんな俺を完全に男だと思っていたようで、「あの人カッコいい」と女性たちが騒いでいた。 「あ、輝ーっ」 もう目の前にホテル、というところで、和華たちに出くわした。 どうやら2人も今まさに到着したようだった。 「よかった、間に合ったわね」 和華はバッグに手を突っ込み、ゴソゴソとする。 少し胸元が見えるか見えないかの絶対領域を死守しているセクシーなワンピースを着ている和華は、大人な女性が好きな男ならイチコロだろうなと思った。 「輝にはね、さらにポイントアップを狙ってもらうよ!」 「何のポイントをアップするんだよ」 小海が至極楽しそうに話すが、言ってる意味がよく分からない。 小海はとてもじゃないが20歳に見えなかった。 まだ中学生ですと言われても納得できるほどだ。相変わらずのロリッ子である。 「はいこれ」 和華に差し出されたのは、黒縁メガネだった。 「……なにこれ?」 「メガネよ」 「見れば分かるわ」 俺が聞きたいのはそういうことじゃなくて……いや、こいつらの考えることだ。なんとなく察しはついた。 「萌えの追求は怠らないんだな…」 「今のままでも十分格好いいんだけど、これをつけることで色っぽさは三割増しよ」 「お前らは俺に何を求めてるんだ」 「男装系女子って、素敵よね」 「…………」 完全にこいつらのいいように遊ばれている。 シズはおろおろと俺を見上げた。 そして2人に視線を戻す。 「あの2人とも、あんまり輝で遊ばないで」 「…シズ、私たちも別に、強要しようとしてるわけじゃないのよ。輝が嫌がるなら諦める」 「あくまでも私たちの希望だからさっ」 「………うぅ。輝、いいの?」 心配そうにシズは俺に尋ねた。 ………まあ実は内心、少し楽しんでいる俺がいる。 実際スーツもそれなりに似合ってるとは思っているし、メガネをかけることでさらに色気が増すだろうとも思う。 それで中学時代のみんなの反応がいかなるものか、楽しみでもある。 「ああ、いいよ。ここまできたら俺も追求したい」 俺はそう言ってメガネをかけた。 「…………!!」 和華は俺の姿を見るなり、ティッシュを鼻にあてる。 「輝……っ、サイコーだよぉ!」 小海はパシャパシャと写メを撮った。 どうやら、黒縁メガネの効果は絶大だったらしい。
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