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というわけで、俺たちは4人で会場に向かう。
結構集合時間ギリギリになっちゃったな。
ホテルに入ると、案内板が立っていた。
案内に従って会場の扉の前まで来る。
扉を開けて中に入った。
開ける直前、和華が「期待してるわよ輝」とニヤニヤして言った。
受付を済ませた限りでは、俺たちが最後だ。
重役出勤…なんてな。
会場に入ると、各々が昔話や近況報告などでざわついていた。
扉に近い場所で話していた女性が、先頭にいる和華を見て手を振る。
「和華じゃん!久しぶりー。相変わらず美人ねあんた!」
「褒め言葉ありがとう秋野」
和華の元クラスメイトだ。
俺自身はあまり話したことがないのと、あまりにも中学時代から様変わりしていたので全然誰だか分からなかった。
え…秋野さん!?
陸上部でこんがり焼けて、スポーツ少女だった子が今では綺麗なお姉さんだ。
驚きで目を丸くしていると、その秋野さんは俺に視線を移した。
「え………まさか、輝くん!?」
「あ……はい輝です」
彼女は俺を認識するなり、大声を上げた。
その声は思いのほか会場に響き渡ったようで、他の参加者たちがこちらを見る。
「え、輝くん!?」
「どれどれ?」
「やっばいカッコいい!!」
「その辺の男よりも断然イイ!」
いや俺は見世物かよ。
終いにはキャーキャーと歓声が上がってパシャパシャと写メを撮られる始末。
俺はアイドルか何かか。
「マジで輝くんか…!ちょっと、更にイケメンになっちゃって……!男にしか見えないんだけど!!てか何でその格好?」
「和華に仕組まれて」
「輝だって割と乗り気だったじゃないの」
和華グッジョブ!と秋野さんは興奮した様子で言った。
「輝くん、女にしとくの勿体ないわ……」
「はは……何なら今の時間だけは男になりきってもいいけど?」
「おいおい坂月、そんなことされたら女子みんなお前に持ってかれちゃうじゃん」
男どもが迷惑そうに顔をしかめている中、一人の男性がこちらにやって来て冗談混じりに言った。
「あれ、もしかして森本?」
1年のとき同じクラスだった。
「おうそーだよ。坂月、お前は男装の趣味でもあるのか?」
「まあ……みんなのニーズに応えただけだって」
「ドンピシャだっつーの」
「そんな森本だって、すごく格好良くなったじゃないか」
当時は野球部で丸坊主だったが、今では爽やか好青年に成長している。
モテるんだろうな。
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