【リク5】中学校の同窓会

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「ねえねえ輝く……」 「悪い。俺が先約」 また新たに女子が話しかけてきたが、それは別の声によって遮られた。 「えー…何よ谷川。私だって順番回ってくるの待ってたんだよ?」 話に割り込んできた谷川を、俺はポカンと口を開けて見つめる。 「二次会だってあるだろ。女ばっか話しかけやがって。俺だって話したいんだよ」 「なによ。まさか輝くんに気があるのー?」 「バーカ。誰がこんな性別不詳」 「あ、ひどーい!輝くん、こんなデリカシーないやつ放っとこ」 「………ごめんな。先約があったのは本当だから…。二次会では絶対優先するから」 俺はそう言ってポンポン、とその女子の頭を撫でた。 「…………っ!ぜ、絶対だからね?」 上目使いで見つめられ、名残惜しそうにその場を去っていった。 「……ありがとな谷川」 「お前…………」 谷川はドン引きしている様子で、青ざめた顔で俺を見ている。 「なんだよ」 「恥ずかしくねぇのか?」 「女の子はああやって頭撫でられるの好きだからさ。大人しく引き下がってくれるかと思って」 「タチ悪いなマジで」 「失礼な。サービスだって」 ニヤリ、と笑うと、谷川はケッとガムを吐き捨てるようにため息をついた。 「相変わらずだな」 「そっちこそ。性別不詳なんて、酷いこと言うよな」 ジト目で谷川を見れば、すっと目を逸らされた。 「あれは……その場のノリっていうか」 「その場のノリってなんだよ。ツンデレは健在なんだな」 「ツンデレって言うな。情けなくなる」 「なんで」 「俺って素直じゃねぇから」 「知ってる」 クスクス笑うと、谷川は恥ずかしそうにこちらを睨んで笑うなと言った。 「…それにしても、女子から話しかけられるのはお前のその格好も原因があるだろ」 「まあ、それはごもっともだな」 「何でそんな格好してんだよ」 「んー……男装が趣味?」 「お前とうとうそこまで……」 ダメだこいつ早く何とかしないと、っていう目でこちらを見てくる。 やめろそんな目で見るな。 「冗談だって。友達に頼まれて」 「……………なるほどな」 友達で察してくれたらしい。 谷川は和華たちをチラリと見て息を吐いた。 「でも似合ってるだろ?」 「………憎たらしいぐらいにイケメンだな」 「うわ」 まさか谷川から褒められるとは思わず、俺は目をパチクリさせた。
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