【リク5】中学校の同窓会

11/17
2497人が本棚に入れています
本棚に追加
/163ページ
あたしたちは席を確保し、レジの列に並ぶ。 「お客様、メニューをどうぞ」 並んでいると店員がメニューを渡してきた。 あたしはそれを受け取り、そのまま谷川に渡す。 「お前が先に決めろ」 「ええ、あたしはいいよ」 「………お前が頼まないと意味ねぇだろ。この前の礼も兼ねて奢ってやる」 「………あのさ、さっきから気になってるんだけど。この前の礼って何?」 あたしの言葉に、谷川はマジかこいつとでも言いたげな表情を浮かべた。 「あたし、何かしたっけ?」 「…………くそ、連れてくるんじゃなかった」 「あたしの放課後を奪っておいてよくそんなことが言えるな」 後悔している様子の谷川に、あたしは呆れてため息しか出ない。 「…チ、何でもいいから選べよ」 「強引だな……」 そうこうしているうちに順番が回ってきてしまった。 仕方なくあたしは紅茶を注文する。 「そんだけか?」 「うん」 「この店に来た意味ねぇだろ」 「でもあたし、甘い物苦手だし」 そう言うと、谷川は驚いたようにポカンと口を開けた。 そして慌てたようにメニューを指差して「これ一つ。以上で」と注文した。 会計を済ませ、席に戻る。 谷川はハアアと大きなため息をついた。 「甘い物無理なのは最初に言えよ!」 「ごめん……確かにそうだけど、あたしこの前平峯さんにクッキーもらったときも公言したぞ」 谷川は面倒臭そうに「そういやそんなこともあったか…?」と言う。 「そんときはお前なんかに全く興味なかったから、完全に忘れてた」 「ソウデスカ……」 そこまでバッサリ言うか。 「お前のせいでマジ時間潰れた」 「はあ?その言葉、そっくりそのまま返すから。そもそも、前もってどこに行くか言わなかった谷川にも非があると思う」 「それはっ……」 言い返す言葉がないのか、谷川はぐっと口を紡ぐ。 「っていうかさ、礼って何なんだよ?」 「まだそれ言うのか」 「気になるだろ」 「……………マジで最悪」 谷川は大層嫌そうに眉間にしわを寄せた。 ちょっとは愛想というものを習得した方がいいと思う。 「……この前、ほら……あれがあっただろ」 「…あれ?」 「あれだよ」 「いや分かんねーよ」 「分かれよ」 「無茶言うな」 何て横暴な奴なんだ。あたしはあんたと以心伝心もしてなければ、テレパシー能力も持ってないわ。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!