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「おい、明日放課後空けとけよ」
「えーなんで」
「なんでもだよ!」
あの日行ってから約2週間後、谷川にまたしても突然あたしの放課後を奪われる。
前回と違って前日に言ってくるだけマシだけど。アニメの録画も前もってできるし。
あたしに拒否権なんてなく…
まあ、全力で拒否する必要もなかったから了承したけど。
何なんだろうと思っていると、到着したのはスター○ックスだった。
「まさか谷川…またあたしを…」
「利用して何が悪い」
「いや悪いからね!?開き直んないでくんない?」
「今月の新作が飲みてーんだよ」
「一人で行け」
ス○バなら男一人で行ってもそこまで浮かないだろ。
しかし谷川はそんなあたしの言葉を聞いてなかったかのようにスルーし、「行くぞ」とずんずん進んでいった。
このままあたしは回れ右をして帰ってしまおうかと思ったが、「ほら早く」と谷川が度々こちらを振り向いて監視してくるため、諦めて後に続いた。
「たっか」
なにこれ一月分のお小遣い飛んじゃうレベルなんですけど。
この前のパンケーキもだったけど、こういうところってぼったくりじゃね?
中学生には些か厳しいお値段だ。
谷川って実は結構金持ちだったりする?
「こんなもんだろ」
「あたしには高いよ…。谷川だけ頼んだらいい」
「何言ってんだよ。俺が無理矢理連れて来てんだから奢る」
「えっ!?」
意外な言葉に、あたしはすっ頓狂な声を上げた。
「なんだよその顔」
「いやだって…谷川がまともなことを言うからさぁ」
「喧嘩売ってんのか」
谷川は心底機嫌が悪そうに、眉間にしわを寄せた。
「いいから何か頼めよ。これはそんな甘くねぇから」
「あ…じゃあこれで……」
谷川に勧められるまま注文するが、何だか落ち着かない。
この前はお礼も兼ねて。
じゃあ今回は?
奢るまでして、あたしと一緒に来る必要ある?
あたしたちは店内の端っこの席を確保した。
「谷川……何か企んでる?」
「何も企んでねーよ」
「でも、今回はあたしが一緒に来る必要なかっただろ?」
「なに言ってんだ、お前がいた方が入りやすいだろ」
「ここなら普通に男性客もいるしさ…あたしがいなくても変じゃないと思うんだけど」
すると谷川は、手付かずのあたしのジュースを指差した。
「つべこべ言ってねぇで、さっさと飲めよ」
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