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ホーリー・ゴール学園は、大都市『ディアス』の中央に腰を据える、『ハクシン』という山の頂上にある。
大きく開かれた窓から吹き込むのは、誰もが待ち望む季節の始まりを告げているかのような、心地よく暖かい風。
それは、朝から賑わう町の人々の様子を黙って見つめる少女の長い髪を揺らす。
玩(もてあそ)ばれるかのように不規則に靡く彼女の金髪は、差し込む太陽光を反射して煌(きらめ)く。
幼くも整った顔立ちの少女は、ぱちぱちと瞬きをして真剣な表情で1人、
「――遂に来たか、新たな1年が」
と、何かを噛締めるかのように呟いた。
短いスカートを翻し、踵を返した彼女の前には、1人の白髪の老人が立っている。
「今年の入学者数は? ヴォルケ」
そう呼ばれた彼――ジーク・ヴォルケリアーゼは、髪と繋がる程の長い顎鬚(あごひげ)を手で弄りながら、
「300人程度……かのう」
と、曖昧な答えを返す。
が、それに対して少女は取り立てて咎める事も無く、また無言。
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