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「死んでなにが変わる?」
「はい。だってそうでしょう? 確かに親族の死は悲しいです。死にたくなる気持ちもわかります。ですが、亡くなった親族から見れば馬鹿みたいに思われますよ。死んだのがもしあなたなら、妹に死んでくれって思いますか?」
「いえ……」
「そうです。そういうことです」
女性はにっこりと微笑む。
そして理解した。
そうか。そういうことか。妹は俺が死ぬことを望んでなんかない。自分のせいで死んでほしくなんかないんだ。
妹を亡くし、生きる意味もなくした俺は、妹の存在を理由にして死のうとしていた。これが妹にできる唯一の恩返しだと思ってた。
でも、違うんだ。
俺は生きないといけなかったんだ。愛する妹が生きれなかった時間を、精一杯。
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