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死に方は簡単だ。この公園の前には駅がある。最終の電車に敷いてもらうことにするさ。ちなみにその最終の電車が通過するのは、あと十五分してからだ。
「あーあ。十五分って待つと長いなぁ。さっさと過ぎろよ、時間」と俺は文句をたれる。
その時、ざりっと小さな足音が聞こえた。驚いて振り返ると、そこには一人の女性の姿があった。
「……あ。こんばんは。お隣よろしいですか?」
手には大きな鞄。重くて手が痺れたのだろう。何度も何度も繰り返し鞄を支える手を変えている。
ああ、なるほどな。理解した俺は「いいですよ」と応えると、そのベンチから立ち上がった。
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