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「ああ、いえ」と女性が申し訳なさそうに言う。「あなたがここから去ることはありませんよ。退屈でしたなら話し相手くらいにはなります」
さっきの独り言を聞かれたのだろう。頬が熱くなるのを感じた。
それに俺はもうすぐ死ぬ身だ。今さら人と触れ合ってどうするというんだ。
「さあ、どうぞ。どんな話でもばっちこいです」
「…………」
気付くと、俺はベンチに座っていた。自分でもなにをしてんだろうと思ってしまう。
まあ、いいさ。人生の最後くらい、誰かと言葉を交わすというのも面白い。最後の十五分くらいは楽しませてもらうか。
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