『想い人』

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   両親が俺たちに親らしいことをしてくれたことはなかった。したことと言えば毎日のように喧嘩したこと。それに俺たちを巻き込んだことくらいだ。  最悪な両親だった。父が二十歳、母が十八歳の時に後先考えずにヤっちゃって、それで俺ができちまった。学習することを知らない二人は一年後、まったく同じ流れで妹も産んでしまった。  小学校低学年の頃からよく聞かされたよ。「あんたなんか産まなきゃよかった」って。  じゃあなんで産んだんだよって話だ。俺らが産まれたのは完璧に後先考えずにヤりまくったお前らの責任だろ。  その責任を俺らに押し付けるように毎日喧嘩三昧。そして四年前、妹がついに死んでしまった。  いや、殺されてしまった。あいつらの手によって。その命日が今日だった。
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