『想い人』

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  「亡くなってしまわれたんです。どこを探したって、もう見付かりはしません」 「わかってます。だから」  死ぬんじゃないですか。そう口から出そうになったのを、慌てて飲み込んだ。  怪しがられてないかと隣を見ると、何故か女性は納得したかのように頷いていた。 「そうですよね。だからこそ生きるんですよね」  女性が口にした言葉は俺のものとは百八十度、正反対に違っていた。  何故だ。妹が死んだ。唯一の家族が死んだのに、なんで生きようと思えるんだ。俺には到底理解できない。 「そうでしょうね。わかります」と女性が言う。「死んでなにが変わるんですかって話ですよね」
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