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特に野良の傭兵は問題が深刻であり、早急にレイヴンズアークやそれに類する組織の地盤を安定させる必要がある。
ACは未だに兵器としてはトップクラスであり、武装勢力にとってはそれだけで一大勢力と言われる程だ。
二機以上持てばそれは今の時代では負け無しと言える、そう今なら……
少女はビルだったものから目を逸らし、また宛てもなく足を進める。
すると何かに足をぶつけこけた。無意識で足を引っ掛けたものを見る、それは赤い破片だった。
バーテックス抗争終結までの間、何度か赤い雨が降り注ぎ、その度に多くの血だまりが出来た。
それは武装勢力やバーテックス、アライアンスの衝突と違い何も産まない、破壊の為の破壊であった。
赤い雨の正体は鉄の塊である兵器に過ぎなかった。この兵器を造ったものも存在意義も分からない。
ただ、対象に突撃し役割を終えると同時に生涯も終える。少女は赤い雨の一つとして生まれればよかったのにと思った。
生まれた瞬間に目的を刷り込まれ、それ以外の事を知らず、目的を果たした瞬間に滅びる。
あの人達に会えないのは寂しいが、そもそもあの人達を知っているからそう思うだけで、知らなければ何も感じない。何よりも、会わなければ会えなくなったときの悲しみも感じない。
少女は何も考えない様に、現実から目を背ける様に足を進める。
人混みから遠ざかり、中心部から離れていく。それに従って被害の修復度が遅くなる。
破壊され、放棄されたACやMT、レーザー兵器によって溶かされたビル、焦げた後が染み付いた道路、瓦礫も酷くまともに歩くのもままならない。
キャッキャッと騒ぐ子供の声がし、少女が顔を上げる。
そこには、コアを引き裂かれた四脚ACが減り込んだビルと、そのACに登る子供達が見えた。
僅か数年前まで、人々に恐怖しか与えなかった兵器が子供達の遊具になる、無いものはその場にあるもので代用する、人のたくましさが現れている気がした。
登り慣れているのか、先頭の子供があっという間に肩までたどり着く。
『おいそこのガキ共!』
突然後ろから怒号がする。振り向くと、クレスト製重装甲型MTがいた。
『そこのお宝から退けや!』
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