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ジャック・O
バーテックス創設者にしてバーテックス抗争の元凶、『レイヴンによる秩序』を掲げ、味方にならない全てのレイヴンに懸賞金を架けた。これに釣られ、アライアンスも同様に味方にならない全てのレイヴンに懸賞金を架けた。
奴のせいでバーテックスとアライアンスの抗争に全てのレイヴンが巻き込まれた。奴のせいで……!
「パワーバランスが崩壊し、アライアンスは衰弱、逆に武装勢力が増長、自らの実力を弁えず小競り合いを繰り返す」
抗争の末路は異常だった。
一人を除く全てのレイヴンが死亡、引退又は消息不明になりバーテックスは崩壊。アライアンスも戦術部隊が壊滅、本部も戦力の六割を失ったという。
戦後の混乱期を突き、物資の略奪、暴動が多発した。
アライアンスはこの事態を重く捉え、急遽入院中の部隊員を隊長に置き、武装勢力から引き抜き、勧誘、促進育成等で実力『だけ』はある人材を鎮圧に投入。
当然、そんな奴らがまともに鎮圧などするはずがなく、先程の様に現場にいる人物の殲滅で終わる。
その所業に対する暴動、それに対する殲滅、その繰り返しだ。
「ジャック・Oがまとめ上げればこうはならなかった、奴にはその力があった、だが奴はその義務を、指導者としての義務を放棄した」
ジャック・Oはバーテックス抗争から一年後、一度だけニュースを騒がしたがその後奴は現れず、今ではたまに番組や特集で『真の目的』とやらを議論されるくらいだ。
仮に『真の目的』とやらがなんであろうが、それは多くの命を奪い、更に多くの人を悲しませる程の価値があったのか。
嫌、未来を奪う程の価値はない、そもそもどんな理想卿の為だろうが死んだ人間はその理想卿を見る事はない、たとえ人類の未来の為だろうがその為に人を殺すなど本末転倒も甚だしい。
「今の時代には力が必要だ、そうは思わんか」
老人が語る、確かに力が無くては生きていけない、理想は人を狂わせる。
「貴様、レイヴンにならんか」
理想ではなく感情で力を奮おう。
まずは『最後の鴉』だ。
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