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この部屋の現状を見ると、このアパートは引き払ったか何かしたんだろう。 なら私は夏の間、何処に住もう? 紗枝ちゃんの家にでも、泊まらして貰おうか…。 そう考え出したとき、カーテンを掛けていない窓の外に黒いスーツをだらしなく着こなした、怪しい男が3人、視界の端に映った。 一目で堅気の人ではないと分かる。 …あからさますぎる気もしないことはないが。 なんだか嫌な予感がして、とりあえず窓から離れる。 ―と、するりと指をすり抜け、メモが落ちてしまった。 拾おうと手を伸ばしたところで気付いた。 紙の後ろにまだ続きがあったことを。 P.S. もしかしたら、 怖ーいおじさんたちがお家に来るかもしれないので帰って手紙を見たら、すぐお仕事に行ってね! 表とは違い、走り書きで書かれた文字を見て、さっきの男たちはこの部屋に来るつもりなんだと悟る。 急いで紙を拾い上げ、スカートのポケットに入れると、扉を叩く音が聞こえた。 「…おーい。いるんでしょー?」 …なんて在り来たりな台詞なんだろうか。 内心呆れつつも、見つかってろくなことがないのは、昔見たドラマで知っている。 慌てて、しかしなるべく音を立てずに、鞄を持ち、靴を履いてから玄関とは反対の位置にある窓に足をかけた。 そこで、痺れを切らした男たちが扉を突き破って入ってきた。 一体どこまで、ベタな行動をとるの!? 口に出せるなら、大声で言ってやりたい。 と、思考に捕らわれていると、1人の男が私に気付いた。
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