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キーンコーンカー… 聞き慣れた少し重々しい鐘のチャイムの音。 7月最後の音を聞きながら、私はその後のことを一心不乱に考えていた。 「……ぉ…、ねぇ!聞いてるの?」 「んっ!?はいっ!なななな何?」 突然の大音量と右肩の鈍痛が私の意識を無理矢理現実に戻した。 肩が妙に痛い…。 「…ったく。痛いなら、殴られないように話し聞いときなさいよね」 そう言って彼女は私の肩を殴ったもの─スクールバッグを左手に掛け、肩に背負う。 「えーっと、で?何の話してたの?」 「バイトよバイト。あんた、幾つか掛け持つんでしょ?あたしも働こうかなーと思ってさ。いいのあったら教えてよ」 最近、不況の煽りで毎月の小遣いまでやばくってさー そう吐き捨てる彼女の横顔には、全くと言っていいほど危機感もなにもなかった。 そこで思わず言葉が口をついた。 「紗枝(サエ)ちゃん。働くって、命懸けなんだからね」 「…は?」 意味が分からない そうはっきりと文字で顔に書いてある。 「お金を貰って、それを使うことにはそれと同じくらい…ううん、もっと大きなことをしないといけないの!」 予想外だったのか、私の熱弁に紗枝ちゃんはたじろいだ。 「私みたいな高校生が一家の生計を立てようとすると、それは本当にもう…命懸けだよ!」 「いや、私の場合あんたみたいな立派な理由じゃなくて小遣い稼ぎだからね!!」 「お小遣いでも大事なお金に変わりありません!」
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