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「えぇー…。お願いっ!!ほんと、1分でもいいの!家に寄って!じゃないとお母さん困る!」 「…何かあったの?」 「あはっ!美緒ちゃんありがとう!そう言ってくれると思ってた!」 母の食い下がりようにとりあえず、理由だけでも…と思い口を開けば、返ってきたのは少しズレた答えだった。 「帰ってくれば分かるわよっ!じゃあね!…あ、美緒ちゃん大好きっ」 ハートが嵐を起こしてるんじゃ…そんな声音で愛の告白をしたあと、一方的に電話は切れた。 「仕方ないなぁ…」 細いため息をひとつ吐き、ディスプレイの汚れを軽く拭き取って鞄の底に戻す。 バイト先に行く途中の角を3つ程曲がれば、自宅がある。 さっさと帰ってさっさと働こう。 そう思い、歩調を速めた。 アスファルトの上に映る私の影は濃く深いものだった。
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