第一話 帰って来た幼なじみ

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あれから十年近くも経っているのに、今更なんで幼なじみについて思い出したんだろう? 自分の気持ちがイマイチよくわからず、頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げた。 すると、またしても服の袖を引っ張られた。 「で、どこで遊ぼっか?」 まだ遊ぶことを諦めていなかった竜彦は、目を輝かせて中堅のように尻尾を振って返事を待っている。 「じゃ、俺はこれで」 「ちょっと!真人くーん!」 そんな竜彦を適当にあしらい、俺は麻子さんに頼まれていた買い物をしに、今度こそスーパーへと向かった。 とりあえず、上手く竜彦をまけて一安心だな。    ☆ 「いらっしゃいませー!只今のお時間、豚肉がお買い得ですよー!」 買い出しのメモを見ながら店内を歩いていると、お肉コーナーでは一際人集りが出来ていた。 どうやらこの時間帯、セールをやっているらしい。 それを目当てに、次々と奥様達がカゴを持ってその人混みへと突撃し、鬼の形相で肉の奪い合いをしている。 まるで、バーゲンセールでも見ているような光景が、俺の前で繰り広げられていた。 「はぁ……、だから女って嫌なんだよ」 「あら、失礼な発言ね」 耳元で囁かれた女の声に首筋がぞわりと鳥肌が立った。
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