7人が本棚に入れています
本棚に追加
あれから十年近くも経っているのに、今更なんで幼なじみについて思い出したんだろう?
自分の気持ちがイマイチよくわからず、頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら首を傾げた。
すると、またしても服の袖を引っ張られた。
「で、どこで遊ぼっか?」
まだ遊ぶことを諦めていなかった竜彦は、目を輝かせて中堅のように尻尾を振って返事を待っている。
「じゃ、俺はこれで」
「ちょっと!真人くーん!」
そんな竜彦を適当にあしらい、俺は麻子さんに頼まれていた買い物をしに、今度こそスーパーへと向かった。
とりあえず、上手く竜彦をまけて一安心だな。
☆
「いらっしゃいませー!只今のお時間、豚肉がお買い得ですよー!」
買い出しのメモを見ながら店内を歩いていると、お肉コーナーでは一際人集りが出来ていた。
どうやらこの時間帯、セールをやっているらしい。
それを目当てに、次々と奥様達がカゴを持ってその人混みへと突撃し、鬼の形相で肉の奪い合いをしている。
まるで、バーゲンセールでも見ているような光景が、俺の前で繰り広げられていた。
「はぁ……、だから女って嫌なんだよ」
「あら、失礼な発言ね」
耳元で囁かれた女の声に首筋がぞわりと鳥肌が立った。
最初のコメントを投稿しよう!