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慌てて横の棚にしがみついた。
心臓がバクバク鳴っていて、きっと血圧も上昇しているに違いない。
勢い良く棚にしがみついたせいで、並べてあったティッシュ箱が数個落ちてしまった。
「相変わらず、女嫌いは治ってないのね」
過敏な反応を見せた俺に、終始呆れ顔のコイツは、落ちたティッシュ箱をわざわざ拾い始めた。
「お前なぁ!短い春休みの間で治ったら奇跡だぞっ!」
「確かに、それもそうね」
拾い上げたティッシュ箱をもとの棚に戻すと、顔面蒼白中の俺に真顔で向き直った。
コイツは同じクラスの、福島有紗(ふくしまありさ)。
いつもの眠そうな目をし、時にはボーっとしていて、とてもじゃないが、何を考えているかわからない人間だ。
この変わった性格のせいで友達はいないらしい。
だが、ひょんな事に、俺が女嫌いと知ってしまった福島は、何故か俺にだけは自ら話しかけてくるようになった。
それが、興味本位なのかすらもわからないままだが……。
「アレはしてないから大丈夫でしょ?それとも、して欲しいの?」
俺の最大の弱点まで知っている福島は、口元に手を寄せて意地悪な笑みを見せた。
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