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カーテンが締め切られた薄暗い室内。
そこで、部屋に置いてある薄型テレビの画面を見ながら、俺、渋谷真人(しぶやまさと)は手を震わせて驚愕していた。
「なんてこった……」
その画面に映し出されているのは、かなりの美少女である、石川さとみ。
都内の私立高校に通う女子高生だ。
大きな瞳と白い素肌に彩る艶やかな桜色の唇、まさに清楚という言葉が彼女に一番ピッタリだ。
だが、その彼女は生身の人間ではない。
ゲームの世界でしか生きられない人間、つまりゲーム上のキャラクター。
その彼女から突如告げられた言葉に、俺は目を見開いてもう一度読み上げてみた。
《私、渋谷君の事が好きなの……》
画面上では彼女が、恥ずかしげに頬を赤らめているではないか。
そして、パッと表示されたニ選択の項目。
一つは、俺も好きだと告げてのハッピーエンド。
もう一つは、友達にしか思えないと振ってからの別ルート行きだ。
ここで一回、生唾を飲み込んだ。
ゲームを買ってから二日目、ここまで来るのに朝から晩までずっと引きこもり、挙げ句の果てには徹夜までした。
時には寝落ちしかけて、床に額をぶつけて起きたこともある。
そんな困難を乗り越え、ついに彼女を自分のものに出来る日が来たのだ。
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