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この感覚はきっと、期末テスト期間グロッキーになっていた人間が、晴れてテスト期間を終えた瞬間だと思う。
「よっしゃーっ!!」
まだ完全にクリアーしたわけでは無いけれど、華やかな未来を目前にし、湧き上がる嬉しさのあまり俺は雄叫びを上げた。
今にも手に持っているコントローラーを、上に飛ばしたいくらい気持ちは絶頂期。
それを抑えながら、返事を返そうとボタンに触れた瞬間、画面がぷつりと真っ暗になった。
「……ん?」
いくら瞬きを繰り返しても、画面は一向に真っ暗なまま。
「画面の線が外れたのか?」
テレビの後ろ側に差し込んであるケーブルを確認しても、外れている様子は無い。
そう考えると、絞り出せる答えは一つだけになる。
その真実を確かめる為に、恐る恐るゲーム機本体に目線を落とすと、いつもならついている電源の明かりが今は消えている。
「悪いわね、真人。今電子レンジ使ったらブレーカー落ちちゃってさー……」
ノックも無しに部屋に入ってきたのは、他の誰でもない、母親の麻子(あさこ)だ。
しかも、その声には悪びれた様子も無く、壁に寄りかかりながら優雅にタバコを吹かしている。
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