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だが、それよりもだ。
俺は今、目の前で起きている現実を受け入れられず、困惑しながらも真っ暗な画面にそっと手を当てた。
「……嘘だろおおお!?」
最終的には、気持ちを抑えきれず、半泣きになりながらテレビ画面に張り付いた。
この画面の先で、彼女は自分に向けて微笑みかけ、そして勇気を振り絞って告白までしてきてくれた。
それが何て事だ。
突如の停電により、これまで彼女と築き上げてきた青春全てが、一瞬で奪い去られてしまったではないか。
さらに、今の俺に追い討ちをかけるかのように、途中からのめり込んでゲームをプレイをしていた為、セーブは序盤までしかしていない。
つまり、また一からのスタートとなる。
「お、俺の徹夜が……!俺のさとみちゃんが……っ!」
ここまでの苦労が、全て水の泡になってしまった。
この辛い現実に、視界はジワリと滲む。
「はぁ……、勉強しないでゲームばかりしているから罰が当たったのよ。そんな事で泣いてる暇があるなら、買い出しに行って来てちょうだい」
「あんた鬼か!今俺がどんだけ心が傷ついたと思ってるんだよ!そこに対する謝罪はないのかよ!」
「すみませんでした。ごめんなさい。どう?これで満足?」
「母ちゃんの鬼!悪魔!冷血!」
母ちゃんが口元に加えているタバコを吹かすと、目がいきなり鋭くなった。
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