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また最初っから始めるとなると、徹夜したプレイ時間も考えて、何十時間もまた費やさなければならない。
時間を計算する為に、指を折り曲げて数えてみると、とんでもない数字が出てしまった。
うん、とりあえず、今日からプレイを頑張ろ。
でも、よく考えてみろ。
徹夜は土日だから出来た事で、明日からは平日。
尚且つ、学校が新学期を迎える為、ゲームをしている暇も無さそうだな……。
ああ、時間が戻ればいいのに……、本気でそう思った。
「真人くーん!」
自分の名前を呼ばれて反射的に後ろに振り返ると、正面から重い何かに飛びつかれた。
一瞬、身体が後ろにのけぞり返ったが、なんとか踏みとどまる事には成功出来た。
「会いたかったよー!」
可愛らしい声を上げて俺の胸で泣きつくのは、残念ながら女ではなく、……正真正銘、男だ。
襟川竜彦(えりかわたつひこ)、俺の同級生で、中学からの腐れ縁だ。
家は立派な豪邸で、駅前のショッピングモールなどを経営している、お金持ちのお坊ちゃま。
本人曰わく、少し声が低くなって声変わりはしたと言っているが、俺からしてみれば、中学から一切変わらない、女のような高い声音のままにしか聞き取れない。一応、これでも声変わりをし終えているらしい。
だが、この声に加えて顔立ちも女顔だ。
竜彦が男子制服を着ていなければ、女だといつも間違えられてしまう。
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