♪寝起キッス♪

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忘れよう・・・そうだ忘れよう。 そう自分に何度も言い聞かせながら、俺は階段をゆっくりと降りていると。 リビングからいつもの声が聞こえてきた。 「真衣(まい)?、残しちゃダメよ?」 「・・・だから野菜は苦手なんだけどな。」 「あら、私の作った料理が食べれないのかしら? 真衣ちゃーん?」 「水衣(すい)姉さん、お願いだから許してくれよ。」 「食べなさい? 食べないとお仕置きよ? それでもいいの?」 「わかった食べるから!その鞭をしまってくれ(汗」 「ふふっ、真衣はいい子ね。」 ・・・毎日の事でもう慣れたが。 水衣姉の矛先が俺に向く前にさっさと朝食を済ませるとしよう。 「・・・誰か助けてくれ。」 水衣姉に逆らうと何をされるかわからない。 ここは真衣姉には申し訳ないがスルーしよう。 「あら・・・またやってるのね?」 そう言って現れたのは、愛衣(あい)姉である。 この家族の中では比較的まともな性格だ・・・あくまでこの家族の中ではな。 「風、ご飯食べ終わったら、兎衣(とい)と詩衣(しい)を起こしてね。」 「だからなんで毎回毎回、俺なんだよ?」 「風の仕事だからよ?」 「嫌だね、俺だってもう高校生なんだぞ? 妹を起こしに行くなんておかしくないか?」 すると愛衣姉が俺の耳元で囁いた。 「そういえば、水衣姉さんの大事な大事な鞭を壊したの。誰だったかしら?」 ・・・ち。 「起こしに行けばいいんだろ。起こしに行けば。」 「姉に対してそんな態度を取るなんて・・・。水衣姉さんこの前・・・んぐっ!?」 俺はとっさに愛衣姉の口を抑えた。 「俺が悪かった、頼むから言わないでくれ。頼む・・・。」
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