プロローグ

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プロローグ

2009 8/1 15:30 ひどく荒れた昼下がりだった。 暑いわけでも寒いわけでもなく だだ、気味の悪い日であった。 朝から雨が降り 昼にやんだと思えば 今度は夕立。 まるで僕の今の気分を 表現したかのような天気。 僕はこの時、 泣きじゃくっていた。 視界は涙で覆われ ココロに鋭い槍を刺されたような 痛みがあった。 拳を握り締め 遺体の側でただ泣いていた。 大好きな祖父の急死。 幼少の頃から大切にしてもらった 家族の一人。 僕の成長を純粋に喜び 自分のことよりも常に僕の事を 考え、理解してくれた。 大好きな祖父。 そんな祖父の遺体は 酷いものだった。 身体中に傷痕があり 両腕はちぎられ 足は火傷で爛れ 顔には謎の刻印があった。 こんな祖父の姿見たくなかった。 誰だってそうだろう。 大切な家族の変わり果てた姿など 見たくない。 が、僕の場合これは 自分の意思で見たわけではない。 祖父の変わり果てた姿を最初に 目撃したのはこの僕なのだ。 夕立に気づき洗濯物を取り込みに 二階のベランダ出た時だった…
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