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だから、人生ひととおり楽しんだ気がしてた。
ダチは何とか就職先を見つけて『人生やり直す』とか言ってるし
卒業した高校の教師は『直己くんは卒業したらどうするの?』
とか、言われた。
でもイマひとつピンと来ない。
布団から起き上がって、カーテンを開けると、橙色の空と、錆色の海がよく見える。
港がすぐ傍の実家は、少ししょっぱい匂いがして風も潮の香りがした。
「……ちょっとバイクで走るか」
1人でポツリと呟く。
……俺もとうとう独り言を言う歳か。
なんだか笑える。
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