幸せの星

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母もまたその頃。絶望に浸り、彼氏に甘えていました。 しかし、母は甘えすぎ。あまりにも自己中で、温厚な彼氏も流石に怒りました。 我慢出来なくなった彼氏は、母に手をあげます。 真夜中に母の泣き声が聞こえ、少年は直ぐに母の部屋に向かいました。 そこには「助けて」と母が哀願してきます。 少年は母の腕を掴んでいる彼氏の腕を引き離します。 「取り敢えず来い。何も言わなくて良いから一旦俺の部屋に来い」 少年は自分の部屋に母を連れてきました。一緒になって彼氏も入ろうとしました。 「少し待て。今アンタが入っても二人共辛いだけ。そっちで頭を冷やして待ってろ」 少年が睨むと、彼氏は大人しく居間に行きます。 「大丈夫か?何処を怪我したんだ?」 絆創膏や湿布を取り出し、母の怪我した場所を優しく手当てします。 泣きじゃくる母を、少年は黙って抱きしめました。 元夫。つまり少年のお父さんから、少年や母は良く暴力を受けていました。 そんな経験があるからか、男性からの暴力にはとてもトラウマがありました。 そんな母を知っているから、少年は更に辛くなり、母を優しく撫でました。 警察が来て、一件落着。その後、絶対に暴力は一生振らない。30分ほど土下座をし、彼氏は謝りました。 少年は「次やったら全力でぶん殴る」。そう約束し、母と仲直りさせました。 母は彼氏との絆が深まったように感じ、更に二人は仲良くなりました。 それと同時に、更に少年への愛は薄れました。 昔からこういう立場にいる少年からすれば、慣れた物。ですが小さい頃はお母さん子だった少年だったので、心の奥底では、深く傷付いていました。
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