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季節は流れ、秋。
何処か切なく、何となく別れの季節と言った感じ。
しかし、それは何となくでは無く確信となって表れたのです。
『アイツ、来週転校するらしいぜ。凄い急だったから』
もう1人の親友に聞かされたのは、命よりも大切な親友の転校でした。
少年は絶望しました。生きる希望が、一瞬で真っ暗闇。
少年はその夜、手紙を書きました。二時間考えて、涙で崩れた手紙を仕上げました。
転校当日。殆どの人はその日に知らされていました。特別仲が良い少年達だけ、彼の転校を聞かされていたのです。
その為、手紙を書いたのは少年達だけ。ですが、事前に知らされていた優越感など無く、ただただ嘘の報告であって欲しかった。
少年は、前日の夜を思い出します。
スピッツの「君が思い出になる前に」と「チェリー」を自分に重ね泣いた事。そして笑顔で別れを告げると自分と約束した事。
少年は手紙を握りしめ、親友の帰りを待ちました。
親友は、車から学校を出る所でした。部活の皆で親友と最後の挨拶をします。
「クサイけどこれ……」
少年は恥ずかしそうに手紙を渡します。親友は笑顔でありがとうと言いました。
そして発進する車。少年は全速力で走り、車に手を振りました。
「またなー!」
大きな声で叫び、少年は大きな物を失い、手に入れました。
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