Un capitulo

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「いや、いい。今回は許す」  その処分に全員が驚いた。 「え、本当ですか!?」 「か、会長さんはそれでいいんですか?!」 「特例だ。異存はないな。五ッ葉」 「う、」  会長直々の命令に五ッ葉は押し黙る。 「ただし条件がある。あの娘から離れるな。学校以外は常に一緒にいろ」 「??」  意図が読み取れない。 「今は理解できなくてもいい。そのうち分かる。それに、その方がお前にとっても幸せだろう」  さっぱり分からない。どうして会長はこんなにも遠まわしに話すのだろうかと宗一は首を傾げる。 「さぁ今日は解散だ。宗一、五ッ葉。帰っていいぞ」  非常に腑に落ちない二人は会長の催促で仕方なしに生徒会室を出て行った。  宗一は生徒会室の扉を閉じると体重を預る。彼を締め付けていた緊張の糸が解かれ肩を撫で下ろした。 「会長さんどうしたんだろう」 「そうだよな。いつもなら例外なんていう処分は下さないのにな」  撫子会長は下級生、上級生に別け隔てなく接し、その違反行為に見合った平等な審判を下してきた事で全校生徒から慕われている。優しいが甘くない。それが彼女が支持されている理由の大半だ。それだからこそ『特例』などというえこひいきな判決が下った事に対して宗一と五ッ葉は納得し得ない部分があった。 「宗一君。会長さんと何かあったでしょ」 「何もねぇよ。いきなり何を聞き出そうとしてんだよお前は」 「だって今日に限って会長さんの様子が変だったから」 「もしかして俺が撫子会長に賄賂を渡してるとでも思ってる?」 「ううん。脅迫」 「そんな事したら俺の安否が心配だわ」
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