Un capitulo

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「おお。よく聞き分けられたな。さすがだ」  褒め称える撫子会長。 「前より成長したわね」  賞賛を送る五ッ葉。 「私には出来ない芸当です」  羨望の眼差しで見つめるカティア。 「(ちゃっかりカティアも混ざっちゃってる)」  この下りがこのグループで遊ぶときの定番であり鉄板でありお約束。始まりは五ッ葉と撫子会長が宗一を「困らせて弄ろう」と結託したのが発端。これが原因なのか彼に「四人までなら同時に喋っても問題なく会話が出来る」という特殊能力が発現した。 「よし。ならば今度は一人一文字で『いっせぇのーで』で言おう」 「なら私はパで」 「私はロですね」 「うぬ。ならわたしはキだな」 「その三文字で一体どんな単語が!? それよりも話が進まないからこの下り一旦止めにしない?!」 「はははは。本当は自信がないのだろう」 「この三文字から成り立つ単語が分からないんでしょ」 「私は逃げる事を咎めたりしませんが、ここで逃げていいのでしょうか」 「ああもう本当疲れるんでもう止めてください」  そう愚痴りつつも内心、愉しんでいたりする。 「まぁまぁまぁ。そう憤るな。いつもの流れじゃないか。……それよりもわたしはメロンソーダが御所望だな」 「わたしはウーロン茶で」 「宗一郎さんと同じもので」  やっとマシな要求が飛んできて一安心。皆からお金を受け取りお金を持っていないカティアの分は自腹で払おう。……とする腹積もりだったがその他二名から「それはずるい」と苦情が飛んできたので四人分の飲食代を払わされるハメに。
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