Un capitulo

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「ならば何故、ここまでして簡単に命を捨てられる。本当はもっと居たいはずじゃないのか。オズノートだからといって心まで殺す必要性はなかろう」  本当に悲しむように、  真に嘆くように、  誠に無念がるように、  世界が彼女に同情するまでの胸懐をカティアは吐き下した。 「だって私じゃ宗一郎さんは救えないから。もう、必要ない」 「…………」  かける言葉すら、慰めの一言さえリアトは見つからなかった。それに例え優しく出来たとして、今の彼女には社交辞令ていどの効果でしかない。それほどまでに彼女は殺されていた。 「君がそう言うのなら俺にやれる事は何もない。唯一できることはせめて死ぬ前に朗報を訊かせてやれるくらいだ」  その朗報とはオリヴィアが決して宗一を見放したりしないという旨。それだけでカティアは安心そうで嬉しそうな表情をした。 「火葬か。最後の最後で日本らしいのは皮肉か」  リアトは煙草を小突こうとするが、そこに事情を知らない少年の声が刺さる。 「お、いたいた」  これこそ間違いなく機械夜宗一だった。手には買い物を済ませた証のビニール袋がぶら下がっている。 「どこ行ってたんだよ。心配したんだぞ」 「え。なんで、宗一郎さんが」 「ん~……。ほら、カティアの格好ってかなり奇抜だからさ、人に訊ねてたらここまできちゃって」 「宗一郎さん」 「おいおいおいおいおい。これは一体どうすればいいんだ」  リアトは大層困惑していた。 「処分現場を目撃された挙句に目撃者が機械夜宗一。ど、どう説明すればいいんだ。おんのれ新月。きちんとno tripuladoの魔術を施工してなかったな」  宗一は唐突に露骨に、陰険な要素を言葉に滲ませる。 「今のが聞き間違いなら良かったんだけど」
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