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特別というのはスポットライトがもっとも当てられやすい場所だ。現にスポーツ選手だって、他の隋を許さない卓越した類まれなる才能を有する優秀な選手が有名になる。でも、だからと言って、“特別”という足場が誰にとっても居心地が良好というわけではない。病気で“特別”になった人だっているのだ。そういう不利益な、平凡から異質に突出した“特別”は断じて心地よいものではない。
「別にそこまで大した事はしてないよ。確かなんだっけ……」
彼女、大和撫子(やまとなでしこ)会長は公言していた。
「『お前とわたし、機械夜宗一と大和撫子は相性がいい』って」
「もしかしてそれが採用理由」
「多分」
五ツ葉は会長のお気に入りである彼に畏敬の眼差しを向けるが、宗一としてはその地位に値しない不当な扱いを受けているので別格、優越感に浸った事はない。
容姿端麗。文武両道。才色兼備で支持率百%(彼女以外の立候補者はなし。全員彼女に席を譲った)の会長から、ややカーブ気味ではあるものの告白まがいの発言をされたのだ。しかも逃げられないように貴重な副会長の位を任命までする用意周到ぶり。これで全校生徒から忌憚な視線が刺さらないわけがない。隣にいる小柄な少女だけを除いて。
「そろそろ寒くなってきたな。早めに帰ろうか。俺も明日は早いし」
「うん。そうしよう」
◇
翌朝、宗一は朝一番に校門前に来ていた。撫子会長からはパソコンの修理は放課後で構わないと言われていたが、何事も早く終わらせるのに越した事はない。
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