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玄関先で話すのもなんなので取りあえず家に招いた。
「お邪魔します」
なんだかもこの時点で彼の心の臓はどえらい事になっていた。ドクドクバクバクと聞こえてしまうんじゃないというくらいに高鳴り、早鐘を打つ。下手をすると心臓が働き過ぎで死ぬかもしれない。
「うん、適当に座ってよ」
「まぁ、ここが宗一郎さんのお城なのですね」
「城というか、寮なんだけどね」
高校から無償で提供されているこの学生寮。一人で住むだけなら丁度良い広さであるものの、生活必需品を配置してもう一人誰かを入れるとなるとちょっぴり厳しくなる。
「はい。これくらいしか出せるものはないけど」
「十分です。ありがとう御座います」
出されたお茶に口を付ける。こうして眺めていると、この少女がどのような用件で訪ねてきたのか忘れてしまう。
「(ん? そういえば何かを忘れてる気が……)」
少女は人形のような肌で飲み終わったお茶をテーブルに置き、
「それでは、本題に戻りましょう」
彼よりはしっかりしている娘のようだ。
「えぇ~っとですね。まずはどれから話しましょうか」
説明する内容が膨大なのか、はたまた彼女の記憶能力が極端に低いのか、頭を右に左に。
このままじゃ無駄に時間を浪費しそうなので宗一は助け舟を出す。
「まずは自己紹介から。ってのはどうかな。お互い面識もないしさ」
「それはナイスです。さすが宗一郎さん」
名前を間違えられはしたものの、素直に嬉しい宗一郎。ではなく宗一。
「ではまず私からですね。私は『カティア・オズノート』と言います。スペイン製です」
「スペイン製? ということはスペイン人」
「はい。下界ではそういう事になりますね」
だから色々と日本人離れしてるのかと納得。
「次は俺だな。俺は機械夜――」
「宗一郎さんですよね?」
…………。
「いや、俺はそうい――」
「宗一郎さんですよね?」
…………。
「宗一郎さんですよね?」
「……はい。宗一郎です」
無念。
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