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「それでは、私の用件を話しますね」
もしかしたら自分に逢いに来てくれたとか、「実はずっと前から好きでした。付き合って下さい」とか、ご都合主義な妄想が宇宙並みに膨らむ。
「あのですね。私、宗一郎さんを救いに来ました」
嘘を言っているようには思えない。
「……なるほど。電波ちゃんですか」
「で、電波じゃないですよぉ! じ、事実なんですから、事実なんですからぁ! 私は宗一郎さんをその“呪い”から開放するために派遣されて来たんですから!」
「なっ――!?」
“呪い”。そのワードに反応せずにはいられなかった。
「何で、何で知ってんだよ!!」
声を荒げてテーブルを叩く。その言葉を耳にして、カティアから漂う魅きつけられる雰囲気なんて吹っ飛んだ。この“力”の事を誰かに明かしたつもりはない。口を滑らせた覚えもない。なのに何故、初対面であるこの少女がそれを知っているのか。
「あんた何処から来た!! なんでこれの事を知ってる!! 目的は何だ、一体なにが――」
「う、う……い、痛いです。宗一郎さん、」
「あ」
水気を帯びた瞳を目の当たりにして、彼はようやく我に帰った。かなり興奮していた模様で、無意識に彼女の身体を掴んでいた。簡単に折れてしまいそうなか弱い肩を。
「ご、ごめん。つい」
詫び、カティアから離れる。
「う、う、う、」
……大洪水が起きそうだった。
案の定、滂沱の涙を流されて泣かれた。
「うわぁあぁあぁあああぁああぁああぁぁああああぁああぁぁああぁあぁぁん!!」
「うわぁあぁあぁああ!! ちょ、ちょ、ちょォっ!?」
壁を貫いて外にも届きそうな泣き声が反響する。ただでさえ学校単位で嫌われているというのに、さらに女の子を泣かせてしまうなんて最悪だった。どうにかなだめようとするも、女子との絡みが一切ない宗一にはその方法が思いつかない。
もう何をどうしていいのか判断がつかなくなった宗一は、手頃な距離にあったハンカチで涙を拭おうとしてカティアの顔に押し付けてしまった。
「(や、やってしまった!!)」
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