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「でも、結局リュートが作ったんじゃ破壊されるんじゃないの?」
「のんのん。描いたのが誰だろうと、柱に刻んで置けば、それは只の魔法陣としてここにコピーされる。魔法陣は魔法陣としての役割を果たすだけ。そこに俺の魔力は一切関与してますぇーん。ハイ論破」
「あっそ」
「あ、あれ?中々の頭脳的プレイの筈なのに扱いが雑」
「……結果論」
「ボソッと言うな。いやそうだけども。誉めてくれてもいいじゃん!?」
「よくやった」
「あれ?なんでだろう全然嬉しくない」
ちなみにこの間、俺たちは絶賛逃亡中である。
馴れって、怖いね。
しかし、リュートのお陰でここから出られそうだ。そう考えると本当にありがたい。これでリーゼを変態の魔の手から救出できる。
「リュート!ミルナは頼む!俺はゴキブリからリーゼを助けてくる!」
一気に速度を上げながら、後ろを走るリュートへ声をかける。
「おーう!かっこよく王子様でもやってこーい!こっちはどうにか……できる気はしないけどとりあえず逃げとく!」
「すまん!頼んだ!」
「デレ期キタコレ」
誰がデレ期だボケ。だが、実際に助かってるのは確かだ。
本当になにかしてやろう。お礼。
「リュートォオ!お前の命令ひとつ聞いてやるから、逃げ切れよぉお!」
「うっほ!マジでか!萎えぽよー!女の子に言われたかったー」
俺も言われてみてえよ。
「リュート!」
「なに!?」
俺はゲートの目の前まですでに迫っているあと数秒で潜ることになるだろう。その前に、ひとつ、言っておかなくては。
「……死ぬなよ?」
俺はゲートを潜った。
後ろから「やめて!フラグの建て逃げとかホントやめてェ!!」みたいな叫び声が聞こえたような聞こえなかったような。
とりあえず、もとの空間に出るために俺は真っ直ぐに進んだ。
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