事案発生

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全くヒステリックに叫びやがってこのトマトめ。叫びたいのは俺の方だよ。まだ叫び足りねえっつの。 「で、なに?早めに済ませてくれるか?」 「お、おう。変わり身はえーな。相変わらずわけわからん」 本題だが、と前置きしてトマトは話を続ける。 「どうやら魔王が動き出したらしい。魔族の連中が王都に出没してる。さっき俺も襲われたところだ」 「なにその急展開。おじさん着いていけんわ」 魔王が動き出した? ……確かに戦争を起こすようなことは言っていたが、早すぎるだろう。それにまだ俺は妖魔剣を返していない。あいつは武器もなしに、それも俺やリュートがいる王都へ唐突に攻めてくるような馬鹿じゃない。もっと頭の回るやつだ(たぶん)。 なんせダークヒーローものとかやれそうなくらいのイケメンで、ある意味主人公ポジションの魔王だぞ?なにやらキナ臭いなぁ。 ……となると、どこかの誰かの陰謀か? 「で、ツルギは何を血迷ったのか知らねえけど、『あの子を安全な場所に!』って一人でどっか行っちまったんだよ。んで俺は俺で魔族片付けてあいつの追跡始めようとしたらお前を見かけたんだ」 「……ツルギ?」 ツルギ……?誰だそれ。ツルギ……ツルギ?はて……。 「あ、やべ。名前ばらしちゃった……。まいっか、ばらされても」 ……………………あ、ゴキちゃんのことか。やっべ、けっこう本気でわからなかった。 つかおい、いいのかよばらして。ダメだろ。 「別にいいさ、自業自得だよ。いつも自分勝手に動きやがって」 トマトは拗ねたように顔を背けてボソッと溢す。 こいつもこいつでゴキブリに対して不満を持ってるみたいだな。まぁそりゃそうか。あれじゃあな。 ……話を戻そう、えーと。 「つまり何か?あの馬鹿は避難を口実にリーゼ一人を抱えてランデブーってか?」 そゆこと、と眉間を押さえてトマトは疲れたようなため息を溢す。
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