僕だけのメイド

Ⅸ

大学に入る事が決まると､父親が自立心も覚えろと､大学近くのマンションの一室を僕に提供した｡

勿論､このマンションの地主は父親の物｡母親は自宅から通う様に進めたが僕は「一人暮らしの方が静かに勉強に集中出来るし大学から近いし便利だから」と､母親に伝えた｡

でも本心は違った｡ただ両親から離れたかった｡嫌､逃げたかった｡と言った方が正しいだろう｡とにかく､この家から出たかったんだ｡

学費や生活費は､毎月多額の金銭が銀行に振り込まれるから不便は無かった｡

ただ不便な事は､僕は家事が一切出来ない｡

３ＬＤＫだなんて僕には無駄に広過ぎる｡
事実､使用して居る部屋は一室だけ｡
そこも､飲みかけの缶珈琲やカップラーメンの空の器等､様々な不要な物達が無様に転がり遊んでいたが､僕は勉強に支障が出なければ問題無いだろう｡と適当に考えていた｡

両親と共に住んで居た時は今迄､全ての家事は母親がやっていたから………｡
(家事って面倒臭いんだな)と思いながらも部屋はどんどん汚れ､止まる事を知らない｡

片付け無いのだから当たり前だけど………｡