加藤京子

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それから暫くして智輝は退院して違う町に引っ越していった。 心にぽっかりと穴があいたような気がした。 あれから10年。 私は28歳になっていた。 あれ以来彼と会うことはもちろん、連絡もとっていない。 20XX年11月 私は仕事の都合で京都に来ていた。 「……じゃあ今日はお疲れ様」 「お疲れ様でした」 上司にそう言われ仕事を終えた私はアパートまでの帰路を歩いていた。 肌寒い風がふく。 私はコートのポケットに手を潜らせて足を急がせる。
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